オーストラリアの自然番組を見ていると、ワラビーとかカンガルーとかがはねてて「え、どっちがどっち?」と思ったことがありませんか?
結論から言うと、ワラビーとカンガルーは別の種名ではなく、同じ仲間(科)の中でのサイズ・生息環境・体つきの総称の違いで呼び分けています。
本記事では、分類→体格→住む場所と食べ物→動きと体の仕組み→子育て→“中間型”ワラルー→人との距離感という順で、その場で用語を解説しながら一本の線で違いを整理します。
まずは“分類”から:同じマクロポド科、呼び分けが違うだけ
ワラビーもカンガルーもマクロポド科の動物です。
マクロポドは「大きい足」という意味で、跳躍に特化した後ろ足と太い尻尾が特徴。さらに彼らは有袋類(ゆうたいるい)で、未熟な赤ちゃんを育児嚢で育てます。
ここで大事なのは、“ワラビー=小さい系”“カンガルー=大きい系”という呼び分けが実用上の慣習だということ。
学名レベルで「ワラビー属」「カンガルー属」ときっちり分かれるわけではなく、体格や生態のまとまりで呼び分けています。
だから例外もありますし、この後で紹介するワラルーという中間までいます。ちょっと面白いですよね。
サイズと体格:一番わかりやすい“違い”
一般に、
- カンガルー:大型。アカカンガルーやオオカンガルーは体長1.5m超、体重はオスで50kg以上になることも。脚が長く、胸板が厚い。尾は長く極太で、跳躍時のバランサー兼“第三の脚”として機能しています。
- ワラビー:小〜中型。体長50〜100cmほどが多く、体つきはぎゅっとコンパクト。耳は相対的に丸みがあり、森の影で目立たない保護色の種が多い。尾は太いが、体のサイズに対してやや短め。
見分けのコツは、脚の長さの比率と尾の太さです。
遠目でも、ひょろっと脚が長く尾が極太→カンガルー寄り、胴詰まりで耳と顔が小ぢんまり→ワラビー寄り、と当たりをつけられます
(とはいえ、個体差があって迷うのも普通です)
住む場所と食べ物:開けた草地か、林の縁か
同じオーストラリアでも棲み分けがあります。
- カンガルーは開けた草原(アウトバックやサバンナ草地)が得意。主食はイネ科の草。群れでで広く移動し、遠くまで見通せる環境で天敵を早期に察知します。
- ワラビーは林縁や低木地、岩場など視界が途切れる環境を好む種が多い。若い芽・広葉植物・低木の葉など、“選んで食べる”傾向が強い。
動き方とエネルギー設計:跳ぶたびに“省エネ充電”
ワラビーもカンガルーも、腱(けん:筋肉と骨をつなぐ強い繊維)をバネのように使い、跳躍のたびに弾性エネルギーを回収する仕組みが備わっています。
これが長距離でも疲れにくい秘密です。
大型のカンガルーは速度が上がるほど1mあたりの消費エネルギーが下がる省エネ最適域を持ち、広い草地を移動するのが得意です。
一方ワラビーは、急な方向転換や岩場の着地のうまいです。
顔つき・色・“可愛い印象”の違い
ざっくり言えば、カンガルーは精悍でスポーティー、ワラビーは丸顔で愛らしいことが多いです。
被毛(ひもう:体毛の色)は、カンガルーが赤茶〜灰色で広い草原に溶ける色、ワラビーは暗褐色や縞(しま)など陰影のある模様が増えます。
ただし見た目だけで判断せず、サイズと環境をセットで見るのが失敗しないコツです。
子育て:袋の“滞在時間”は体格と生活の違いにリンク
有袋類の赤ちゃんは未熟児サイズで生まれ、袋で育つのが基本。
- カンガルー(大型):袋の中での滞在期間が長め(約6〜8か月以上)。その後もしばらくは袋に出入りしつつ授乳。広域を移動する生活なので、袋=安全なベビールームの重要度が高い。
- ワラビー(小〜中型):種による差が大きいが、林や岩場での隠れ場所が多い分、袋外の練習期間を早めに持つ種も。短距離ダッシュや隠れる戦術と相性が良い。
乳の質や授乳の頻度も違っていて、乾季・雨季で濃さを変えるなど、気候カスタムされたミルクで子を守る適応も知られています。
“ワラルー”という中間も
「小さい=ワラビー/大きい=カンガルー」と書くと気持ちいいのですが、自然はそんなに直線的ではありません。
ワラルー(英語でもWallaroo)と呼ばれる中型組がいて、岩場を好むなどワラビー寄りの生態を持ちつつ、体格はカンガルーほど重厚…という中間もいます。
つまり、ワラビー—ワラルー—カンガルーは連続スペクトラム。この連続性こそ、実地で“見分け”に迷う理由でもあるわけです
社会性
カンガルーは数十頭規模のモブで採食・移動することが多く、見張り役が顔を上げて周囲を確認する行動がよく見られます。オスは胸筋が発達し、ボクシングのような姿勢で力比べをすることも。
ワラビーはペア〜小群で見かけることが多く、斑に広がって採食します。ただし食物が集中する場所や安全地帯ではゆるく集合します。
まとめ
ワラビーとカンガルーの違いありません。同じマクロポド科の生き物です。
次に動画や動物園、現地の草地で彼らに出会ったら、尾の使い方や跳躍のリズム、採食の場所選びに注目してみてください。
同じ“跳ねる隣人”でも、体と風景のフィットの仕方がまるで違って見えてくるはず。
気づいたらあなたの中で、ワラビーとカンガルーは「そっくりな別人」から「似ているけれど生き方が違うナイスな隣人」にアップデートされているはずです。