牧場で酪農家さんが親牛(母牛)の乳を搾る光景を見て、「じゃあ子牛は何を飲んで育つの?」と不思議に思ったことはありませんか。
牛のお母さんのミルクは人間がいただいているけれど、肝心の子牛は母乳を飲めないの?
動物好きとしては子牛の行く末が気になりますよね。
実は、酪農が盛んな現代では子牛たちもしっかりお腹いっぱいミルクを飲んで育てられているんです。
では、親牛の乳は搾られて人間用になる中、子牛たちは何を飲んで大きくなるのか? をご紹介します。
近代酪農の現実:搾乳と進化した乳牛たち
牛も哺乳類ですから本来は出産後に子牛に飲ませるために乳が出ます。
近代の酪農ではホルスタイン種という乳用牛を中心に、長年の品種改良と優れた飼養によって以前の牛と比較して信じられないほど大量のミルクが出るようになっています。
ホルスタイン種の乳牛は日本では約99%を占める主力で、1頭の母牛が1日に20~30リットルもの生乳を生産します。
自然の状態で子牛一頭が1日に飲む乳の量はせいぜい数リットル程度です。
現代の乳牛は子牛が必要とする以上にたっぷりミルクを作り出しているわけです。
では「だったら子牛に母乳を飲ませても十分余るのでは?」と思うかもしれません。
しかし酪農では、母牛から生まれたミルク(生乳)は牛乳として出荷・販売するのが目的です。
子牛に母親のミルクを飲ませていては酪農家の収入源がなくなってしまうため、生まれて数日分を除いて、その後は子牛には人工のミルクが与えられるのが一般的です。
母牛が出産してから最初の4~5日間に出る初乳は人間向けには出荷できない特別なミルクなので(薄い黄色のミルクです)、この間は子牛に母乳を飲ませるか哺乳瓶で与えます。
初乳には免疫に必要な抗体が豊富に含まれており、子牛は生後すぐこの初乳を飲むことで病気に対する免疫力を獲得します。
そして母牛の出産から約1週間が経つと乳質が通常の牛乳に変わり、牛乳として出荷できるようになります。
酪農家さんたちは人間用の牛乳を確保しつつ子牛にも必要な栄養を与えるため、初乳期間を過ぎたら子牛を母牛から離し、別の方法でミルクを与えて育てるのです