公園や海外の港で、ペリカンが自分の喉より大きい生き物を飲み込もうとする動画が時々バズります。
あれを見ると「ペリカンってバカ?」と感じがちですが、結論を先に言えばそうではありません。
彼らは魚を協力して追い込む水上のハンターで、学習・記憶・連携の点で水鳥として標準的な知能を持っています。
あの“丸のみ未遂”は、専門外の状況で起こる判断ミスにすぎないのです。
この記事ではペリカンの知能についてご紹介をします。
なぜ「大物を飲もうとする」のか
ペリカンは本来、魚群を浅瀬へ追い込み、くちばしの“網”で一気に掬って飲み込むスタイルの捕食者です。
くちばしの下にある喉嚢(こうのう)は伸縮する袋状の皮膚で、これを使って魚をすくい上げて捕食します。
ここで注目なのがすくい上げた魚が飲み込める大きさかどうかの判断は目では行いません。
実際に飲み込んでみて、飲み込めそうであれば飲み込みます。
無理なら吐き出します。
これはペリカンだけでなくほかの水鳥にもみられる特徴です。
魚は細長い形なので魚の頭からしっぽまでの長さがどれだけあっても、魚の胴体がペリカンの喉よりも細ければ飲み込めてしまいます。
ペリカンはどういうわけか鳥類や哺乳類も捕食しようとします。鳥や哺乳類は体積・骨格・重さが魚とはまったく違います。
これがペリカンの無謀なチャレンジの原因と考えられます。
そもそも「賢さ」はどう測る?
動物の知能(ここでは“環境に合わせて行動を選び学び直す力”)は、①学習(経験からルール化する力)、②記憶(場所・時刻・人を覚える力)、③問題解決(新しい状況で試行錯誤を整理する力)で見るのが実用的です。
さらに社会学習(= 他個体の行動をまねて学ぶこと)や空間認知(= 地形や目印を“地図”のように記憶する力)も、鳥の認知では重要です。ペリカンはこのあたりが水鳥として標準的に働きます。
協調ハンティングは“即時連携”の知性を要する
ペリカンは群れで魚群を岸へ追い込み、一斉に嘴を水にいれて魚を採ります。
これにはそれなりの知能が必要です。
知能がなければ連携をとることができません。
ペリカンは大げさな作戦会議はしませんが、ほかのペリカンに合わせて行動するのは、立派な社会的知性です。
道具は使わないけれど、環境は使う
ペリカンはカラスのように道具を作るタイプではありませんが、風・波・壁を味方につけるのは上手です。
例えば向かい風でホバリング気味に速度を落として狙いを定めたり、堤防や船体で小魚群を片側から圧して逃げ道を減らしたりする。
これは環境利用(= 外部の力を“道具の代わり”にすること)の一種で、経験依存=学習の産物です。
脳の“作り方”の違い:カラス級ではないが、水鳥として標準
鳥は脳が小さくても神経細胞の密度が高いのが特徴です。
ペリカンは大型の水鳥で、カラスやオウムほどの道具・模倣の妙技は見せませんが、群れ連携・空間記憶・時間学習では白鳥・サギ・カモ類と同等の“水鳥標準”です。
つまり、バカではないが“別方向に最適化された賢さ”を持つ、と言い換えられます。私はこの“専門特化の知性”、かなりかっこいいと思います。
結論:ペリカンの知能は“ほかの鳥と同じくらい”
彼らは魚を追い込み、仲間に合わせて動きを微調整し、時間と場所と人を覚え、風や壁を利用して獲物を得るだけの知性を備えています。
総じてペリカンの賢さは水鳥として標準的です。
じゃあなんでサイズ的に無理な人間を捕食しようとするのか…それは謎です。