不思議な生態 体のつくり

サンマの内臓とうろこの関係|漁法・餌・消化の観点から徹底解説

秋の食卓でおろしたサンマ内臓から、キラッと光るうろこが出てくる——最初は「え、なんで?」とちょっと驚きました

異物混入のように見えますが、じつはサンマの体のしくみ漁のされ方、そして消化のクセが重なると、内臓にうろこが混ざるのは十分に起こりうることです。

本記事はサンマのはらわたから鱗がでてきた理由について解説します。

内臓からうろこが出るのは異常ではない

結論からいえば、サンマの内臓にうろこが混じるのは珍事ではないです。主な理由は二つ。

  1. うろこが極端にはがれやすい体質。サンマのうろこは薄いコラーゲン性の板(=たんぱく質主体の薄板)で、体表にゆるく重なって載っているだけなので、衝撃や摩擦で簡単に脱落します。
  2. 漁でのすくい上げ時に飲み込みやすい状況。夜、光に集まった群れを棒受け網で引き上げますが、棒受け網は「光で寄せた魚群を、四辺を棒で保持した大型のタモ網のような道具で一気にすくい上げる漁法」のこと。このとき水中にウロコが舞い、口を開閉して体勢を立て直すサンマが自分や仲間のうろこを吸い込むのです。

サンマはどうやって水揚げされている?

サンマ漁の多くは集魚灯で群れを寄せ、棒受け網で掬い上げます。

暗い海面に強い光を当てると、プランクトン(※海中を漂う微小な生物の総称)が集まり、それを食べるサンマも集まるという食物連鎖を利用した誘引です。

群れが網に触れる瞬間、体表が擦れてうろこが大量に脱落します。

光に反射して舞う薄片は、まるで銀粉のようです。

サンマは狭い水域で方向転換しながら口とエラ蓋を忙しく動かすため、周囲の薄片を反射的に吸い込みやすいのです。

ここで登場するエラ耙(さいは)は、エラの内側に並ぶ“餌をふるい分ける櫛(くし)状の突起”で、本来は小さな餌を逃さない装置ですが、薄くて軽いうろこはそのまま内臓に入ってしまします。

サンマは常時口を開けている

サンマはプランクトン食中心(小型の甲殻類など)で、口を開けたまま連続的に水を吸い込み、エラ耙でこし取る食べ方をします。

いわば常時フィルター給餌

この方式は効率的ですが、海中に混じる不要物(うろこ・小片)も一緒に取り込みやすいです。

そのためサンマの内臓には鱗が入っていることがあります。

サンマには「胃がない」

驚くことにサンマには胃がありません

正確には、口→食道→短い腸へとほぼ直結しており、強酸で溶かして滞留させる胃袋が欠落しています(この特徴を胃欠如と言います)。

結果として内臓を開けたときに“銀の薄片”がそのまま残っていて、「内臓からうろこが出てきた」と感じるわけです。

内臓のうろこは危険?安全性と注意点

まず安心材料から。小さなうろこ自体は基本的に無害で、万一口に入ってもそのまま排出されるます。

サンマのウロコは紙片のように薄い板で、鋭利な骨片とは異なり安全です。

内臓を食べるならしっかり火を通して!

サンマの肝のほろ苦さが好きな方も多いですよね。内臓を楽しみたいなら、塩焼きでしっかり火を通してくださいね。

焼き上がりに包丁で腹を軽く開いて余分な液を逃がす苦味が角ばらず、香りが立ちます。

内臓に銀片(うろこ)を見つけたら取り除けばOK

味や安全性への影響はありません。

もう一歩踏み込むQ サンマだけが“胃なし”なの?

胃がない魚はサンマだけではありません。

淡水魚の一部など、進化の過程で胃を簡略化したグループがいます。

酸で長時間“溶かす”より、素早く取り込んで腸で処理するほうが回遊・高速遊泳のです。

サンマは高速回遊魚です。

軽量な内臓設計は、速く遠くへ移動するための合理的な選択でもあります。

まとめ

サンマの内臓から“うろこ”が出てきたとき、心配しすぎる必要はありません。

サンマの“胃なし設計”は海を走るための合理であり、漁法と食べ方の偶然が重なって、あなたのお皿にに小さな銀片を連れてきただけなのです。

仕組みを知れば、次からは落ち着いて、手際よく、秋の一本をさらに美味しく扱えるはずです。

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