
飼ってきたアサリをボウルで砂抜きしているとき、なんかアサリを飼育している気分になりませんか?管理人はなります。
砂にもぐる姿はかわいいし、口(入水管・出水管)を伸ばして水を吸うのも観察していて飽きません。
本当に水槽で飼ってみたくなりますよね。
…が、結論から言うと「家庭での長期飼育は実用的には無理」です。
ここでいう“無理”は、数日~1週間の一時預かりではなく、数か月~年単位で健康を維持することを指します。
なぜそう言い切るのかを、エサ(濾過摂食)/プランクトン供給/水温・塩分の管理/底砂と酸素/水質と衛生の順で整理します。
最初は「エサさえあれば…」と思っていた私も、仕組みを知って正直、難易度に驚きました。
アサリは“濾過摂食者”なのでエサが家庭で用意できない
濾過摂食者とは、口から海水を吸い込み、鰓(えら)で数マイクロ〜数十マイクロメートルの微小粒子(主に植物プランクトン)をこし取って食べる生き方です。
そして植物プランクトンはペットショップで市販されていません…。
アサリの飼育は乾燥フードをポンと入れて済む世界ではないのです…。
砂の問題も立ちはだかる…
アサリを潜らせる底砂を用意する必要があります。目安として厚さ5〜10cm、粒度は細〜中粒が望ましいです。
さらに厄介なのは、砂の表面に餌の残りやフンが積もると嫌気化が進み、結果として貝が窒息してしまうことです。
「ならば酸素を入れればいい」と底面ろ過+強い上部循環で攻めると、今度は砂が舞い上がって鰓(えら)を傷めてしまう可能性があります。
水がクリアに見えても、アサリにとっては砂のスノードーム状態。これでは本末転倒ですよね。
対照的に干潟では、潮汐や波、微生物のはたらきが24時間体制で砂をくるくる循環させ、バランスを保っています。
残念ながら、この芸当を小さな水槽で完全再現するのは非常に難しいのが現実です。
それでもアサリをちょっと観察したい場合(短期)
長期飼育は無理でも、「短期の観察」ならやりようはあります。
それはアサリにエサ無しで過ごしてもらうことです。
多くの水生生物は一週間程度であれば絶食に耐えることができます。
観察が終わったら責任をもって食べてあげてくださいね。
ちなみに話は変わりますが、流氷の天使という異名を持つクリオネは「ミジンウキマイマイ」という巻貝しか食べません。
このミジンウキマイマイという貝を入手することは困難であるため、水族館であってもエサを与えることができないそうです。
クリオネは絶食状態でも1年程度生きるそうです。
クリオネと同じ飼い方ならアサリも飼育は可能です。
代わりに楽しめる“観察テーマ”の提案
アサリの観察をしたいのであれば下記の方法をぜひお試しください。
- 干潟のフィールド観察:潮位表を見て干潮の2〜3時間前後に行くと、水管の出入りや噴水(ベント)が見やすい。
- 水の“濾過”の実演(短時間):透明な容器に微細な泥水を作り、数分だけアサリを入れて濁りの変化を観察(長時間は×)。
まとめ:アサリの長期飼育が無理な理由
- 濾過摂食者ゆえに、生きたプランクトンを用意するのが家庭では維持困難。
- 水槽の小水量ではアサリの生育環境を保てない。
なんとも残念ですが、アサリを飼育するのはとても難易度が高いのです。