
商店街やフリマで耳にする「バッタもん」という言葉、聞いた瞬間、頭にバッタ(昆虫)がよぎりますよね。
でも「バッタもん」のバッタは、昆虫のバッタとは基本的に無関係とする説が有力です。
今回は「バッタもん」という言葉について解説します。
言葉の来歴をたどると、商いの隠語や売り方のニュアンスから生まれた語で、そこからバッタ屋→バッタもんと広がりました。まずは辞書の意味から押さえましょう。
「バッタもん」の意味:安値・非正規・ニセ物の総称
「バッタもん」という言葉の来歴は商いの隠語や売り方のニュアンスから生まれた語です。
そこからバッタ屋→バッタもんと広がりました。まずは辞書の意味から押さえましょう。
国語辞典では極端な安値品/正規ルート外の品/偽物の意が示されます。
つまり値段の安さだけでなく、仕入れ経路の“いわく”や真贋の怪しさまで含むのが現代的な使い方です。
語源の有力ルート:「ばった=投げ売り」→バッタ屋→バッタもん
語源辞典が推している由来はシンプルです。
古道具商の隠語で「ばった」=投げ売り → 安売りの店を「バッタ屋」 → そこで扱う品=「バッタもん」。
さらに「ばった」の背景には、ばったばった/ばったりといった物が落ちる・片付く擬態語がある、とされています。
昆虫ではなく、**売買の“身も蓋もない安さ”**が語の中心にあります。
ただし語源は“諸説あり”——叩き売りや不況のバタバタ説も
一方で、俗語史にはいくつかの派生説が並びます。たとえば、
- 不況で店がバタバタ倒れ、その在庫を扱う店=バッタ屋 → そこでの品がバッタもんになった、という解釈。
- 露天の叩き売りの所作・音から来たとする説。
- 戦後の露店が次々移る様子をバッタ(昆虫)の群飛になぞらえた比喩……など。
いずれも「安く雑多な商品」というイメージを補強する説明で、語源は単一起点ではなく複数の連想が絡んで定着した、というのが現実に近い見取り図です。
昆虫の「バッタ」とは原則無関係——“生き物語源”ではない
辞書・語源解説の主流は商い由来の語として扱っており、昆虫のバッタを直接の語源とする説は有力視されていません。
ネット由来の「虫が関係する」説明は比喩レベルに留まるものが多く、標準辞典の定義は“投げ売り→バッタ屋→バッタもん”の線で一貫しています。
関連:「バッタ屋」は何を売っていた?
バッタ屋は、正規ルート外や倒産在庫・型落ち品などを安価にさばく店を指した語。
いまの感覚で言えばアウトレットとジャンクの間のような立ち位置で、そこに並ぶ**“いわく付き”の品がバッタもん**と呼ばれました。
ここから「ニセ物」の意味へ拡張した、と考えると流れがすっきりします。
言葉の手ざわり:なぜ「バッタ」は耳に残るのか
バッタという音は、バタバタ/ばったりのリズム感と強い破裂音を持ち、勢いよく値が崩れる絵を瞬時に連想させます。
実際、語源辞典は擬態語由来を指摘し、「投げ売り」の現場音が語感に与えた影響があったとしています。
まとめ:バッタもんの“バッタ”は商いのことば
- 意味は安値・非正規・偽物の総称。
- 昆虫のバッタは直接の語源ではない(比喩レベルの説はあり)。
言葉の裏側を知ると、「バッタもん」と「バッタ(昆虫)」は別の物語を生きていると分かります。
買い物の現場では、値段の安さの理由を見抜く目も一緒に持っておきたいですね