
私たち人間がウマに乗る光景は、ごく自然なものとして受け入れられています。
観光地の乗馬体験、牧場での作業、騎馬警察、競馬など馬と人の関わりは深く歴史は長いです。
一方で牛に乗るというイメージはあまり見かけません。
強いて言えば、ロデオのブルライディング(牛乗り)が有名ですが、あれは「乗せてくれている」のではなく人間が無理やり乗っています。
ではなぜウマは人を乗せてくれるのに、ウシはそうではないのでしょうか?
両者の気質の違いや人間との関わりの歴史
この違いを掘り下げてみましょう。
ウマと人間の長い歴史

ウマが家畜化されたのはおよそ5000〜6000年前、中央アジアの草原地帯が発祥とされています。
ウマのスピードと力強さが評価され、運搬や戦争、農耕などあらゆる場面で人間の重要なパートナーとなりました。
馬は社会性が高く、群れで行動する動物です。
そのため、指導的な存在に従う習性があり人間が「リーダー」として振る舞うことで、比較的素直に命令を聞いてくれる傾向があります。
またウマは警戒心が強く敏感ですが、その一方で学習能力も高く、人間の意図を読み取って動くことができる動物です。
これにより、騎乗や手綱操作に適した動物へと育てられていったのです。
ウシの性格と人間との関わり:力はあるが協力はしない?
では、ウシはどうでしょうか?

ウシもまた、馬と同じように古代から家畜として飼育されてきました。
ですがその目的は、もっぱら乳や肉の供給源として、あるいは農耕用の「曳獣」としての利用です。
人が乗るために使われることはほとんどありませんでした。
ウシの性格は、馬と比べて鈍重で頑固です。
警戒心が薄くおおらかな反面、指示に従って動くというよりは、自分のペースで行動することを好む傾向があります。
もちろん個体差はありますが、全体的には「訓練に向かない性格」と言えるかもしれません。
ロデオのウシ:乗れないのではなく「乗せたくない」
ここで、例外のように思える「ロデオ」を思い出してみましょう。
アメリカなどで行われるロデオ競技では、「ブルライディング」という種目があります。
これはまさにウシに乗る競技で、荒々しいウシの背中に乗って、できるだけ長く振り落とされずに耐えるという内容です。
ウシはストレスを感じ、人間に背中を支配されることを拒絶しているのです。
このようなロデオ用のウシたちは選抜された気性の荒い品種であり、通常の牧場で飼われている温和なウシとはまた違います。
彼らは「乗せない」どころか「乗るな!」と全力で抵抗しているのです。
つまり、ロデオに登場するウシは「乗せてくれる存在」では決してなく、あくまでも人間と闘う相手としてのウシ。
このことは、馬とはまったく違う人間との関係性を物語っています。
ウマとウシ、どちらが賢いのか?
ウマとウシどちらが賢いのでしょうか?
これには一概に答えは出せませんが、「人間との協力関係を築きやすい」という点では馬に軍配が上がります。
牛は感情の記憶が優れていたり、人間の顔を見分けたりと知能的な面は決して低くありません。
ただし、人間の命令に従って動くという形での訓練や協力はあまり得意ではないのです。
まとめ:ウマとウシ、それぞれの個性と関係性
ウマとウシはどちらも私たち人間の暮らしに深く関わってきた動物ですが、「人を乗せる」という点においては大きく異なる役割を担ってきました。
ウマは敏感でありながらも協調性があり、訓練を通して人間と信頼関係を築いてきました。
だからこそ乗馬や作業に使われ、「人と共に働く動物」として進化してきたのです。
一方でウシは、どっしりとした穏やかさと自立心の強さを持ち、人間の命令に従うよりも、自分のペースを守る生き物です。
そのため「乗せる動物」としてではなく、乳や肉、労働力といった形で人の生活を支えてきました。
動物たちの気質や能力に目を向けることで、私たち人間とのつながりの深さと多様性が見えてきます。